派遣・人材紹介コラムCOLUMN
2025.11.26 ②在宅ワークを武器にする「実践編」:優秀な人材を獲得する環境整備と具体的なアピール策
在宅ワーク可能な求人が減少する中で、これを継続する企業は競争優位性を確立できます。
しかし、単に「リモートOK」とするだけでなく、質が高く持続可能な在宅環境を整備することが、優秀な人材を引きつけ、定着させる鍵となります。
1. 制度設計とインフラ整備の実践
在宅ワークを成功させるには、従業員が安心して業務に集中できるインフラとルールが不可欠です。
| 項目 | 実践すべき具体的な施策 | 採用時のアピールポイント |
| 評価制度 | 目標管理制度 (MBO) の徹底。プロセスではなく、四半期ごとの具体的な成果(KPI)に基づき評価。在宅・出社で評価基準を変えない。 | 「成果主義を徹底。働く場所で評価は一切変わりません」 |
| 勤務管理 | コアタイム設定(例:10時~15時)と、フレキシブルタイムの拡大。タスク管理ツール(Asana, Trelloなど)で進捗を可視化。 | 「自由度の高いフレックスタイム制で、生活リズムに合わせて働けます」 |
| インフラ | セキュリティソフトの全社員統一導入と、二要素認証の義務化。**クラウド型VDI (仮想デスクトップ)**の導入検討。 | 「最新のセキュリティ対策を導入し、どこでも安全に働ける環境です」 |
| 手当・補助 | 通信費、光熱費、環境整備費として定額の在宅勤務手当を支給(例:月額5,000円)。チェアやデスク購入補助制度の創設。 | 「自宅のオフィス環境整備にも会社がしっかり投資します」 |
2. コミュニケーションと定着率向上の実践
在宅環境下で「見えない壁」を作らず、従業員のエンゲージメントを維持することが、定着率向上に繋がります。
■「非公式」な交流機会の制度化:
- バーチャル・コーヒーブレイク:業務とは関係ない少人数での雑談タイムを週に一度設定。参加は自由とし、所属部署外の人との交流を促す。
- オンライン・ウェルカムランチ: 新入社員の入社時に、部署メンバーとのオンラインランチ費用を会社が負担。
■メンタルヘルスケアの強化:
- 外部のカウンセリングサービス(EAP)と提携し、在宅勤務のストレスや不安に対する無料相談窓口を提供。
■ドキュメント文化の徹底:
- すべての決定事項、業務プロセス、知見をナレッジベースツール(Confluence, Notionなど)に記録・公開し、情報の属人化や「情報格差」を解消。
3. 採用活動での効果的なアピール方法
整備した環境を求職者に適切に伝えることで、優秀な人材を引き寄せます。
■求人情報での具体的な明記:
- 単に「リモートワーク可」ではなく、「リモートワーク率90%以上」「コアタイム以外の勤務時間は自由」「オフィス出社は月1回」など、具体的な頻度と制度を数値で明記する。
■社員インタビューの実施:
- 在宅で活躍している社員に焦点を当て、「在宅で子育てと両立できている」「通勤時間がなくなり、自己学習に充てられている」といったリアルな成功事例をコラムや動画で紹介する。
■体験入社の提供(短期トライアル):
- 選考プロセスの一部として、短期間(1日~数日)のリモートでの業務トライアルを実施し、企業の在宅ワーク環境や文化を求職者に体験してもらう。ミスマッチ防止にも繋がります。
在宅ワークは、企業が優秀な人材に対する「信頼」と「投資」を示す手段です。
これらの実践的な施策を公開することで、「働きやすさ」を求める市場において、貴社は間違いなく「選ばれる企業」となるでしょう。
- 執筆者
- 人事・労務コンサルティング事業部 人材紹介派遣課 吉澤 健治
- 経歴
- 大学を卒業後、専門商社の営業職を経験した後、2007年に人材業界に身を投じて、2013年に経理職の人材サービスを専門とする当社に入社。現在は、人事・労務コンサルティング事業部人材紹介派遣課に属して求人企業からの求人依頼の対応や派遣中のスタッフフォローを担当。





