派遣・人材紹介コラムCOLUMN
2025.12.03 ③バックオフィス(経理、人事、総務、法務など)人材を獲得する実践策
在宅ワークが人気のバックオフィス(経理、人事、総務、法務など)人材を獲得するための具体的な環境整備とアピール策を深掘りします。
1. 業務のデジタル化とセキュリティ対策の実践
バックオフィス業務は機密性の高い情報を扱うため、在宅ワークを成功させるには、高度なデジタル化とセキュリティが必須条件となります。
■クラウドツールの徹底導入:
- 経理・財務:請求書、経費精算、振込処理などをクラウド会計ソフト(例:MFクラウド、freee)やSaaS型ERPに一本化。紙の証憑をなくし、電子帳簿保存法に対応した運用を徹底します。
- 人事・労務:雇用契約、給与計算、年末調整手続きをクラウド人事労務システム(例:SmartHR、Bizer)で行い、書類への押印・郵送を完全に排除します。
■データアクセスとセキュリティの管理:
- VDI (仮想デスクトップインフラ) の導入を検討。従業員の私物PCにデータを残さず、すべての作業をセキュアなサーバー上で行わせる環境を構築し、情報漏洩リスクを最小化します。
- 機密情報へのアクセス権限は、職務に応じて細かく設定(最小権限の原則)し、ログを厳重に監視します。
2. 評価とコミュニケーションの最適化
バックオフィスは定型業務が多いと思われがちですが、DXの推進や法改正対応など、プロジェクト的な側面も増加しています。
■成果に基づく評価基準の設定(KPI):
- 経理:月次決算の完了速度、支払いミスの件数、経費精算の処理時間など、効率性や正確性に焦点を当てたKPIを設定します。
- 人事:採用プロセスのリードタイム短縮、社員満足度調査の改善率など、定量的・定性的な目標に基づき評価します。
- 総務・法務:契約書レビューの納期厳守率、トラブル対応の解決スピードなどを評価します。
■非同期コミュニケーションの活用:
- チャットツール(Slack, Teamsなど) のチャンネルを、業務分野(例:#経費精算問い合わせ、#法務相談)ごとに設け、質問や依頼を「見える化」します。これにより、誰が対応可能か、進捗はどうなっているかが明確になります。
- ビデオ会議は要点を絞り短時間で完了させ、詳細な議論や決定事項はドキュメント(Notion, Wikiなど)に残す非同期型の働き方を推奨します。
3. 採用活動でのアピール戦略
専門性が高く、正確性を求められるバックオフィス人材に対し、安心して在宅で働ける環境を訴求します。
■「安心」と「効率」を裏付ける数値アピール:
- 「ペーパーレス化率95%達成」
- 「クラウドツール導入数:全業務の9割以上をカバー」
- 「全バックオフィス業務でVDIを導入済み」
- 「セキュリティ専門チームによる24時間監視体制」
■「キャリアチェンジ」の可能性を提示:
- 「定型業務はRPAで自動化し、今後はガバナンス強化やDXプロジェクトへの参画が主なミッションになる」といった、より戦略的な業務へのステップアップの機会を明示します。
- バックオフィス系の専門資格取得(簿記、社労士など)に対する費用補助や特別休暇制度を制度化し、自己投資への支援体制をアピールします。
■バックオフィスメンバーの生の声を紹介:
- 「在宅で通勤時間がなくなり、試験勉強の時間を確保できた」「子どもの急な発熱時も、VDI環境のおかげでスムーズに業務を継続できた」など、ライフイベントとの両立や生産性向上に繋がった具体的な体験談を掲載します。
これらの施策を実践し、採用時に明確にアピールすることで、優秀なバックオフィス人材からの応募を増やし、定着率を高めることができるでしょう。
- 執筆者
- 人事・労務コンサルティング事業部 人材紹介派遣課 吉澤 健治
- 経歴
- 大学を卒業後、専門商社の営業職を経験した後、2007年に人材業界に身を投じて、2013年に経理職の人材サービスを専門とする当社に入社。現在は、人事・労務コンサルティング事業部人材紹介派遣課に属して求人企業からの求人依頼の対応や派遣中のスタッフフォローを担当。





